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平成23年度 大阪府立図書館の活動評価について(外部評価報告)

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年11月1日更新

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平成24年8月
大阪府立図書館協議会 活動評価部会

 活動評価の前提となる個々の事業における活動指標については,22年度よりポイントが上がっているものが多く,この一年間で大阪府立図書館の全体としての活動は前進しているとみることができる。今回は,「総合評価」および「活動評価のまとめ(重点目標レベル)」に基づき,大阪府立図書館アクション・プランの「基本方針1~5」に沿っていくつかの指摘を行うとともに,平成24年度に引継期間が終了する「国際児童文学館」ならびに24年度が現契約の最終年度となる「市場化テスト」に関して若干のコメントを付加することとする。

1.「基本方針1」(大阪府立図書館は,市町村立図書館を支え,大阪府全域の図書館サービスを発展させます。)

 これについては,「協力貸出に関する調査」など市町村立図書館のニーズの把握に努めようとする府立図書館の取組みが,研修事業への参加者の増加といった結果をもたらしていると考えられる。この意味でも市町村立図書館の要求を的確に捉え,それに対応した事業を展開する姿勢は重要である。そのうえで協力貸出冊数等の推移をみると,府立図書館から市町村立図書館への協力貸出の減少に比して市町村立図書館間の資料物流が増加しており,結果として府内全体での図書館間相互貸借は微増ということになっている。さきの調査結果の分析とあわせて,市町村立図書館間での貸借資料と府立図書館からの貸出資料の内容を分析するといったことにより,府立図書館に求められているものを資料の面から再確認することも必要と考えられる。

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2.「基本方針2」(大阪府立図書館は,幅広い資料の収集・保存に努め,すべての府民が情報・知識に到達できるようサポートします。)

 このなかで政策立案支援サービスが利用者(大阪府職員および関係者)から高い評価を得ているのは,府立図書館がこれまで蓄積してきたレファレンスサービスの実績に裏付けられているとともに,レファレンスサービスの質の高さを示していると考えられる。また,e-レファレンスの利用が大幅に増加しているのも府立図書館のレファレンスサービスに対する信頼があるからこそと思われる。ただ,新しい試みであるe‐レファレンスの活動評価指標が「期限内回答率」すなわち速さという質的側面に置かれているため,評価そのものはあまり高いポイントとなっていない。新しく取り組まれるサービスについてはそのサービスが利用者のニーズに対応しており,広く活用されるものとなっていくかを見極めるためには,まず量的側面での評価を行い,サービスが定着した段階で速さや内容の充実度といった質的側面での評価に切り替えるべきであろう。その点で,各活動の評価指標が適切に選択されているかどうかをあらためて見直すことも必要ではないだろうか。

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3.「基本方針3」(大阪府立図書館は、府域の子どもが豊かに育つ読書環境づくりを進めます。)

 ここでは,「基本方針2」での貴重資料等のマイクロ化・デジタル化とあわせて,「住民生活に光を注ぐ交付金」を活用した国際児童文学館からの引継資料の整備が着実に進展している。今回の「光交付金」は特に図書館を視野に入れたものであり,それの有効活用により懸案事業を大きく進展させたことは評価される。

 平成22年度からの新規事業である市町村立図書館と学校図書館との合同研修で申込者数が大きく増加していることは,府立図書館の果たすべき役割のひとつとして,府内のさまざまな子ども読書推進活動の連携を促進していくことが期待されていることを示していると考えられる。これらの活動を通して,府立図書館はじめ公立図書館で実践されてきた児童サービスの経験が広く共有されていくことを望みたい。

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4.「基本方針4」(大阪府立図書館は、大阪の歴史と知の蓄積を確実に未来に伝えます。)

 昨年度と比較して地域資料の収集のためのツールやマニュアルの整備が進展している。この分野は特に数値での評価がなじみにくいものであるが,実際の活動の基礎となるツール類の整備などによって,府立図書館における地域資料のコレクションの質がより効果的に高められていくことを期待したい。

 大阪に関するレファレンス事例の公開は,府立図書館の働きを具体的に示すという意味でも積極的に進めていくべき活動である。さきのe-レファレンスと同じく,ここではまず公開事例の量的充実という側面がもっと重視されてもよいのではないかと考えられる。

 レファレンスの事例集が利用者にとって便利で利用価値をもつものになるためには,まず一定の量的蓄積が求められる。多くの事例が公開されていれば,利用者はそこから必要な情報を容易に検索することができるし,豊富な事例のなかから思いがけない発見をする機会に出会うこともあるだろう。事例収集件数に対して公開件数が10%にも満たないという点については,レファレンス事例の公開という事業の意義と位置づけも含めて検討すべきことと思われる。

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5.「基本方針5」(大阪府立図書館は、府民に開かれた図書館として、府民とともにあゆみます。)

 府立図書館ウェブサイトへのアクセス件数は昨年度に続いて減少傾向となっている。予約などホームページからの手続が21年度に比べて2倍近く増加していることから,ウェブサイトの活用は定着してきているとみることができるので,アクセス件数の減少の要因についてサイト内の各ページの利用状況を分析することなどを通して検討する必要があると思われる。アクセシビリティ向上の努力とともに,現状が利用者の府立図書館サイトに求めていることがらを的確に反映したものとなっているかどうかの検証も求められる。

 近年,これまでとは異なったかたちでの読書会が話題となるなかで,中央図書館が近隣施設との連携事業として準備を進めている読書会については,図書館に新たな魅力をつくりだす試みとして注目したい。

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6.評価のまとめ方について

 この活動評価は各年度のアクション・プランに基づき単年度で実施されている。ただし,図書館の活動は長い時間をかけて蓄積されてきた基盤があって成り立つものである。このことから,活動評価についても府立図書館のこれまでの歩みのなかに位置づけて読まれるべきものであると考える。活動評価のまとめにあたって,短期的な評価指標とあわせて長期的な視点にもとづいた評価指標を設定するなど,そのための工夫が付け加えられることを望みたい。

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7.「国際児童文学館」について

 国際児童文学館については平成24年度が引継期間の最終年度である。25年度以後の「国際児童文学館のあり方」を明確にするための議論がなされているとのことであるが,府立図書館として現時点で将来像をどのように認識し,検討課題がどのように整理されているかの中間的なまとめが必要であると考える。

 国際児童文学館の中央図書館への移転は,府立図書館の児童サービスや府内の子ども読書活動推進にかかわる側面では,関係部署の連携や新規事業の展開などに大きな効果をもたらしている。いっぽうで「国際」と冠された機能をどのように発展させていくのか,国立国会図書館国際子ども図書館との関係も含めて,方向性を定めなければならないことがらが数多く残されていると考えられる。今回の活動評価によると,日本児童図書出版協会等からの寄贈資料が増加している。これは府立図書館というよりも国際児童文学館への期待が高いことを示していると見ることができる。外部からの期待と支援が寄せられているだけに,「国際児童文学館のあり方」を含めた将来像に関する議論については開かれた場で行っていくことが必要であり,そこでさらに内容が深められていくことを期待したい。

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8.「市場化テスト」について

 市場化テストについては24年度に契約期限を迎えることから,この2年間の成果の検証と評価を踏まえて,次期契約の準備を進める必要がある。

 委託の概要をみると,委託先の人員体制が委託開始時の73.2名から80.7名へと10%以上増員されている。業務を遂行するにあたっての体制が未成熟なまま市場化テストが始まったため,サービスの量的維持を人員増によりカバーする必要があったようであるが,見方によっては配置されている人員が本来の求められるべき能力を満たしていなかったからともいえるだろう。サービスという点からみれば,組織としての体制とあわせて配置される個々の職員の能力も考慮すべきことがらかもしれない。そのためにも府立図書館が求める図書館サービスの水準を質的側面から明確にしておくべきかと考える。

 図書館サービスの評価は,数的実績よりもサービスを供給しているプロセスが重要である。府立図書館職員が担当するサービスと委託事業者が担当するサービスにかかわらず,図書館の日常的なサービスが展開されているプロセスの全体において,利用者の視点に立った質的評価を行うべきであろう。あわせて「市場化テスト」の評価にあたっては,日々の図書館活動、実践にもとづいた評価の視点が欠落しないような工夫を望みたい。

 市場化テストの受託業者による書籍販売など,利用者からの評価が注目される試みも始められているが,こうした試みが意味をもつためには府立図書館としての「市場化テスト」の理念を明確にしておくことが求められる。そのうえで受託業者の創意工夫を促すためにも,次期契約においてはインセンティブ条項が付与されることが必要であると考える。

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大阪府立図書館協議会 活動評価部会

岸本 岳文(京都産業大学文化学部客員教授)
○ 北 克一(大阪市立大学大学院創造都市研究科教授)
村上 泰子(関西大学文学部教授)
(50音順・○は部会長)

平成23年度 総合評価(自己評価)

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