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中央図書館職員ブログ「職員の日記帳」

このページでは、府立中央図書館の職員が「日記帳」としてブログを作成し、公開しています。日常の業務のこと、最近読んだ本のことなど、特にジャンルは決まっていません。どうぞみなさんにもお読みいただき、少しでもみなさんとの距離が縮まることを願っています。
  • このブログには「コメント」の掲載や「トラックバック」は受け付けていませんのでご了承ください。
文豪と「金魚」(3)
 金魚をモチーフとした詩や童謡では、北原白秋の『トンボの眼玉』に収録の「金魚」がとりわけ有名な気がします。その残酷な数え歌のような内容から、ミステリ小説やドラマにもよく登場するので、知っている人もいるかもしれませんね。
 今回のミニ展示「金魚〜涼をもとめて〜」でも展示している山田正紀のミステリ『金魚の眼が光る』は、「母さん怖いよ、眼が光る。ピカピカ、金魚の眼が光る。」という最後のフレーズから。作中では北原白秋の親友、夭折の詩人・中島白雨の死が重要な要素となっています。

 新美南吉「金魚」は、「或る晩君は君の小さい世界が、さかさまに見えるのでびっくりする/つまり君は仰向きに浮いたのだ/こいつは少々具合がわるいと君は思う/全くそうなのさ」というフレーズで始まります。金魚を「君」と呼ぶ飼い主「僕」の視点で、金魚の死を残酷でありながらも、どこかユーモラスに描写しています。

 『金子みすゞ全集 2 空のかあさま』には、金魚の詩が2つ収録されています。「金魚のお墓」は金子みすゞらしく、墓に葬られ、冷たい土の中にいる金魚の気持ちを想像して書いた優しい詩です。月と花と金魚が「いきするたびごとに」吐き出すものについて詠った美しい「金魚」という詩もあります。

 そういえば、萩原朔太郎は『純情小曲集』の中で、「金魚のうろこは赤けれども/その目のいろのさびしさ/さくらの花は咲きてほころべども/かくばかり/嘆きの淵に身を投げ捨てたる我の哀しさ」と、金魚の華やかさとうらはらな淋しさを抒情性豊かに描いていますが、彼との友情を「二魂一体」と呼んだ親友・室生犀星の「金魚のうた」(『動物詩集』所収)は正反対のイメージ。「金魚はびっくりしてうんこをした」から始まり、最後は「うんこはかなしげにういてしずんだ」。うんこが「かなしげ」・・・。

 さて最後にご紹介した室生犀星はともかく、近代文学の文豪たちが書いた「金魚」にまつわる作品は、どこか「死」や「哀しみ」に近しいイメージの作品が多いですね。
 金魚は、死者が還って来る夏に愛でられる魚。金魚鉢や池のような囲われた場所で愛玩される人工的な魚。広い海に出たら死んでしまう淡水魚。
 水のなかでゆらゆらと揺らぐ姿が、どこか儚い印象をあたえるからかもしれませんね。
2018年8月17日  文豪倶楽部
文豪と「金魚」(2)
 金魚の小説といえば、室生犀星の『蜜のあわれ』はその独特の世界観が印象的です。

 犀星をほうふつとさせる老作家の池に暮らす金魚が、時には金魚、時には美女の姿で老作家と戯れる少しエロティックで幻想的な物語で、全編が会話で構成されています。老作家が昔知った女性(死者)が甦り、しかし彼女と老作家は再会することなく、一尾の金魚の言葉により彼女の存在が伝えられます。金魚は「死」に近しいものとして生者と死者のあわいを行き来します。
 2016年には映画化し、先ごろ急逝した俳優・大杉漣が老作家を、女優・二階堂ふみが金魚(赤井赤子)を演じました。

 また、装丁家・栃折久美子が、犀星の依頼で「金魚の魚拓」を『蜜のあわれ』の初版本(新潮社 1959)の函表紙にあしらうまでを描いた後日譚を題材とした『火の魚』という作品もあります。
 当初「一尾の金魚が燃え尽きて海に突っ込んで、自ら死に果てるところ」の絵を『蜜のあわれ』の装丁にしたいと考えた犀星でしたが、最終的には金魚が自殺する絵ではなく、「一尾の朱いさかなが、結局死ぬことになり、空から頭を突っ込むようにして海に降下していく」そんな精神力を持った魚拓を求めるようになるのです。どんな表紙か、ちょっと見てみたい気持ちになりますよね?
 しかし、府立図書館所蔵の『蜜のあわれ(初版)』には函がありませんでした・・・残念!
2018年8月16日  文豪倶楽部
文豪と「金魚」(1)
 毎日暑いですね!気持ちだけでも涼しくなろうと、現在、4階エレベーター前では、ミニ展示「金魚〜涼をもとめて〜」を開催中です(8月18日まで)。
 水中を泳ぐ赤い宝石のような金魚は、見ているだけで涼しい気分になりますね。ゆらゆらとゆれる尾びれや鮮やかな色彩・・・その幻想的な姿が創作意欲を掻き立てるのか、「金魚」は近代の文豪作品のモチーフとしてもよく取り上げられています。

 岡本かの子の『金魚撩乱』は、美しい幼馴染の女性への叶わぬ思慕を、絢爛豪華な金魚の創造にひたすら捧げた男の物語。ラストの金魚の描写がとても美しい!!
 「金魚の色はいつ思ひ出してもうら悲しい。おふさを思へばうら悲しい。」と結ばれる、妻のおふさへの追憶が切々と胸に響く、鈴木三重吉の掌編『金魚』。
 岡本綺堂『冬の金魚』は三角関係から女性が入水自殺をとげた「於玉ヶ池事件」をモチーフに、寒中に湯の中で生きる金魚に関わった人物の死の謎を追う「半七捕物帳」シリーズの一篇。江戸時代から金魚は珍重されていたのです。
 川端康成『屋上の金魚』は、屋上で金魚を飼育する女性の業とそこからの解放の物語・・・だと思うのですが、そこに至るまでの展開がなんだかホラー!?金魚食べてるし。

 さまざまな形で描かれた金魚たち。各作品、読んで確認してみてください。涼しくなれるかも!?
 文豪と「金魚」、実は続きます!
ミニ展示「金魚〜涼をもとめて〜」
2018年8月16日  文豪倶楽部
YA展示コーナーで企画展示!
みなさん、こんにちは!
猛暑が続いていますが、楽しく元気に夏休みを過ごしていますか?

当館1階のYA展示コーナーで夏休み企画として、展示「夏休み!君のチャレンジ応援展」を開催します!展示期間は8月7日(火曜日)から9月2日(日曜日)までです。

せっかくの夏休みだし、新しい趣味をみつけよう、新しいことを学ぼう、といったみなさんのチャレンジ精神を応援したいということで、そのきっかけになりそうな、歴史、手芸、芸術、経済、英語などなど、いろいろなジャンルの入門書レベルの本を集めてみました。
気になる本を手に取って、この夏休みに新しいことにチャレンジしてみませんか?
普段は関心のないことでも、読んでみると意外とはまってしまうかも・・・!

ご来館お待ちしています♪

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2018年8月2日  善哉